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ご意見・ご要望

 


エイズ治療薬情報

治療上の注意

米国添付文書

ZIAGENTM
(硫酸アバカビル)

錠剤

 

ZIAGENTM
(硫酸アバカビル)

内服液

 

警告:ZIAGENの治療には致死的な過敏反応を伴うことがある。過敏症の徴候または症状(発熱、皮疹、疲労感ならびに嘔気、嘔吐、下痢または腹痛などの消化器系症状)が発現し、過敏反応が疑われる場合は、直ちにZIAGENの投与を中止すること。ZIAGENによる過敏反応が一度でも発現した患者にZIAGENを投与すると、数時間内にさらに重篤な症状が再発し、生命に関わる血圧低下をきたして死亡に至る危険性もあることから、ZIAGENによる治療を再開しないこと。

 ZIAGENまたは他の抗レトロウイルス薬を含むヌクレオシド誘導体の単独あるいは併用療法によって、乳酸アシドーシスおよび重篤な脂肪沈着による肝腫大(死亡例を含む)が報告されている(P.6「警告」の項参照)。

 HIV-1感染の治療にはZIAGENと他の抗レトロウイルス薬との併用療法が適応とされる。

この適応は最大24週間の対照試験におけるサロゲートマーカーの分析にもとづいている。現在のところ、ZIAGENによるHIV RNA量または疾患の進行について長期的な抑制を評価した対照試験のデータはない。

 

性状:ZIAGENは抗HIV活性を有する合成炭素環ヌクレオシド誘導体、硫酸アバカビルの商品名である。硫酸アバカビルの化学式は(1S,cis)-4-[2-amino-6-(cyclopropylamino)-9H-purin-9-yl]-2-cyclopentene-1-methanol sulfate (塩) (2:1)である。硫酸アバカビルはシクロペンテン環上に1S,4R絶対配置をもつ鏡像異性体であり、分子式 (C14H18N6O)2・H2SO4、分子量670.76ダルトンである。構造式は下記の通りである(略)。

 

 硫酸アバカビルは白〜黄白色の固体であり、蒸留水に対する溶解度は25℃で約77mg/mlである。オクタノール/水(pH7.1〜7.3)の分配係数(log P)は25℃で約1.20である。

 ZIAGEN錠は経口用製剤である。1錠につきアバカビル300mgを硫酸アバカビルとして含有し、添加物としてコロイド二酸化シリコン、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロースおよびグリコール酸ナトリウムデンプンを含む。フィルムコーティング剤であり、フィルム成分にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリソルベート80、合成黄酸化鉄、二酸化チタンおよびトリアセチンが使用されている。

 ZIAGEN内服液は経口用製剤である。ZIAGEN内服液1ml中にアバカビル(20mg/ml水性液)20mgを硫酸アバカビルとして含有し、添加物としてイチゴ・バナナ風味の人工香料、クエン酸(無水)、メチルパラベンとプロピルパラペン(保存剤)、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、クエン酸ナトリウム(二水和)およびソルビトール液を含む。

 in vivoで、硫酸アバカビルは遊離基アバカビルに解離する。本説明書では、ZIAGENの用量はすべてアバカビル量で表示する。

 

微生物学的活性:

作用機序:アバカビルは炭素環合成ヌクレオシド誘導体である。アバカビルは細胞内で細胞酵素によって活性代謝物のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸はデオキシグアノシン-5’-三リン酸(dGTP)の類似体である。カルボビル三リン酸は天然基質dGTPと競合し、ウイルスDNAに取り込まれることによって、HIV-1逆転写酵素(RT)の活性を阻害する。取り込まれたヌクレオシド誘導体の3’-OH基の欠失によって、DNA鎖の伸長に不可欠な5’-3’リン酸ジエステル結合の形成が阻害され、ウイルスのDNA増殖が停止する。

in vitroの抗ウイルス活性:リンパ芽球においてT細胞指向性の実験株HIV-1 IIIB、初代(培養)の単球/マクロファージにおいて単球/マクロファージ指向性の実験株HIV-1 BaLおよび末梢血単核球において臨床分離株に対するアバカビルのin vitro抗HIV-1活性を評価した。ウイルス複製を50%阻害するのに必要な薬物濃度(IC50)はHIV-1 IIIBに対して3.7〜5.8? M、8個の臨床分離株に対して0.26±0.18? M(1? M=0.28?g/ml)、HIV-1 BaLに対して0.07〜1.0? Mであった。in vitroではアンプレナビル、ネビラピンおよびジドブジンとの併用によってアバカビルの相乗作用が認められ、ジダノシン、ラミブジン、スタブジンおよびザルシタビンとの併用によって相加作用が認められているが、ヒトではこうした薬物の併用効果について十分には評価されていない。HIVのアバカビルに対するin vitro感受性とヒトにおけるHIV複製の阻害との関連性は明らかではない。

薬物耐性:アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitroで選択されたほか、アバカビル投与患者からも採取されている。アバカビル治療患者の分離株の遺伝分析によって、K65R、L74V、Y115FおよびM184Vの座位でアミノ酸置換を引き起こす逆転写酵素遺伝子の点突然変異が認められた。臨床分離株では突然変異M184VおよびL74Vが頻回に観察された。アバカビルを12週間単独投与した患者17例から採取したアバカビル誘発突然変異をもつHIV-1分離株の表現型分析を実施した結果、アバカビル感受性がin vitroの3分の1であることがわかった。アバカビル療法による遺伝子型と表現型の変化の臨床的相関は判明していない。

交差耐性:アバカビルに耐性を示す複数の逆転写酵素突然変異がみられるHIV-1組換え実験株(HXB2)は、in vitroでラミブジン、ジダノシンおよびザルシタビンに対する交差耐性を示した。治療患者の臨床情報については、「適応と用法:臨床試験の概要と使用上の注意」を参照のこと。

 アバカビルとHIVプロテアーゼインヒビターとは目標酵素が異なることから、両者間に交差耐性が発生する可能性は低い。アバカビルと非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤も逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性が発生する可能性は低い。

 

臨床薬理作用:

成人での薬物動態:無症候性HIV感染成人患者を対象に、150mgの単回静脈内投与(C)後ならびに単回および反復経口投与後の薬物動態を検討した。アバカビルの薬物動態特性は300〜1200mg/日の範囲で用量依存性を示さなかった。

 吸収とバイオアベイラビリティ:アバカビルは経口投与後迅速かつ良好に吸収された。錠剤の絶対バイオアベイラビリティの相乗平均は83%であった。患者20例に300mgを1日2回経口投与したところ、定常状態における最高血清中アバカビル濃度(Cmax)は3.0? 0.89?g /ml(平均ア 標準偏差)、AUC(0-12h)は6.02? 1.73?g・h/mlであった。アバカビル錠のバイオアベイラビリティを食前および食後に評価した。食前と食後の全身曝露量(AUC∞)に有意差はなかったことから、ZIAGEN錠は食前、食後のいずれにも投与することができると思われる。ZIAGEN内服液とZIAGEN錠で投与後のアバカビル全身曝露量に差がなかったことから、両剤型は互換的に使用することができると思われる。

 分布:アバカビル静脈内投与後の見かけの分布容積は0.86? 0.15l/kgであったことから、血管外へのアバカビルの分布が示唆される。被験者3例で測定した血漿アバカビルAUC(0-6h)に対するCSF AUC(0-6h)の比率は27〜33%であった。

 アバカビルのヒト血漿タンパク結合率は約50%である。この血漿タンパク結合率は濃度非依存的であった。血液中と血漿中の薬物由来総放射能濃度は同一であったことから、アバカビルが赤血球中に容易に分布することが示された。

 代謝:ヒトではアバカビルはチトクロムP450酵素によってほとんど代謝されない。アバカビルの主要消失経路はアルコールデヒドロゲナーゼ(5’-カルボン酸を生成)およびグルクロニルトランスフェラーゼ(5’-グルクロニドを生成)による代謝である。代謝物に抗ウイルス活性はない。in vitro実験より、アバカビルは臨床濃度ではヒトCYP3A4、CYP2D6またはCYP2C9活性を阻害しないことが明らかになっている。

 排泄:14C-アバカビル 600mgを投与したマスバランス試験においてアバカビルの排泄を定量したところ、放射能の99%が回収された。1.2%はアバカビルとして、30%は5’-カルボン酸代謝物として、36%は5’-グルクロン酸代謝物として、15%は非同定のマイナーな代謝物として尿中に排泄された。投与量の16%は糞便中に排泄された。

 単回投与試験において、消失半減期(t1/2)は1.54? 0.63hであり、静脈内投与後の総クリアランスは0.80? 0.24l/h/kg(平均ア 標準偏差)であった。

特別な背景をもつ患者:腎機能低下成人患者:腎機能低下患者に対するZIAGENの薬物動態特性は検討されていない。未変化体アバカビルの腎排泄はマイナーな消失経路である。

 小児患者:小児患者68例にZIAGENを単回または反復投与し、アバカビルの薬物動態を検討した。ZIAGEN 8mg/kgの1日2回反復投与後の定常状態におけるAUC(0-12h)は9.8? 4.56?g・h/ml、Cmaxは3.71? 1.36?g/ml(平均ア 標準偏差)であった(「使用上の注意:小児への投与」を参照)。

 高齢患者:65歳を超える患者に対するZIAGENの薬物動態は検討していない。

 性:ZIAGENの薬物動態における性差は検討していない。

 人種:ZIAGENの薬物動態における人種差は検討していない。

薬物相互作用:ヒト肝ミクロソームにおいて、アバカビルはチトクロムP450のアイソザイム(2C9、2D6、3A4)を抑制しなかった。このデータにもとづくと、チトクロムP450経路で代謝される薬物とアバカビルとの間に臨床的に重大な相互作用が発生する可能性は低いと考えられる。

 アバカビルとジドブジンはグルクロニルトランスフェラーゼによる代謝経路が共通していることから、HIV感染患者15例を対象にアバカビル(600mg)、ラミブジン(150mg)およびジドブジン(300mg)の単独投与または併用投与(単回投与)を検討するクロスオーバー試験を実施した。解析の結果、アバカビルにラミブジンまたはジドブジンあるいは両剤を併用しても、アバカビルの薬物動態に臨床的に重要な変化は認められなかった。ラミブジン暴露量(AUCの15%減)およびジドブジン暴露量(AUCの10%増)は、アバカビルの併用により臨床的に重要な変化は観察されなかった。

 アルコールデヒドロゲナーゼによる代謝経路が共通していることから、HIV感染症男性患者24例を対象にアバカビルとエタノールとの薬物動態的相互作用を検討した。各患者にアバカビル600mg単独、エタノール0.7g/kg(アルコール飲料5本分)単独、およびアバカビル600mgとエタノール0.7g/kgの併用による単回投与を順に実施した。エタノールとアバカビルの併用によって、アバカビルのAUC∞が41%上昇し、アバカビルのt1/2が26%増加した。男性患者ではアバカビルはエタノールの薬物動態に影響しなかったことから、男性患者では臨床的に重要な相互作用は予測されない。女性患者ではこの2剤の相互作用は検討していない。

 

適応と用法:ZIAGEN(錠剤・内服液)と他の抗レトロウイルス薬との併用療法は、HIV-1感染の治療に適応とされる。この適応は最大24週間の対照試験におけるサロゲートマーカーの分析にもとづいている。現在のところ、ZIAGENによるHIV RNAまたは疾患の進行の長期的抑制を評価した対照試験のデータはない(「臨床試験の概要」を参照)。

 臨床試験の概要:無治療成人患者:CNAAB3003は進行中の多施設共同二重盲検プラセボ対照試験であり、治療経験のないHIV感染症成人患者173例に対して、ZIAGEN(300mg 1日2回)、ラミブジン(150mg 1日2回)およびジドブジン(300mg 1日2回)の三剤併用療法またはラミブジン(150mg 1日2回)とジドブジン(300mg 1日2回)の二剤併用療法のいずれかを無作為割付した。二重盲検治療期は16週間であった。被験者は男性が76%を占め、白人54%、黒人28%、ヒスパニック系16%であった。年齢の中央値は34歳であり、治療前CD4リンパ球数の中央値は450cells/mm3、血漿中HIV-1 RNA量の中央値は4.5 log10 copies/mlであった。16週間の治療期間にわたる血漿中HIV-1 RNA量≦400copies/mlの患者の比率を図1にまとめる(Roche Amplicor HIV-1 MONITOR® Testを用いた)。

 

図1: 試験CNAAB30031の血漿中HIV-1 RNA≦400copies/mlの患者の比率

 

 16週間の治療終了後に測定したベースラインからのCD4リンパ球数の増加量(中央値)はZIAGEN投与群で47cells/mm3、プラセボ群で112cells/mm3であった。

 治療経験のない成人患者による第2の対照試験から得られた予備所見は、アバカビルの16週間投与の有効性を支持するものであった。

 治療経験小児患者:CNAA3006は実施中の無作為化二重盲検試験であり、ZIAGEN 8mg/kg 1日2回、ラミブジン4mg/kg 1日2回およびジドブジン180mg/m2 1日2回の三剤併用療法とラミブジン4mg/kg 1日2回およびジドブジン180mg/m2 1日2回の二剤併用療法とを比較する試験である。この試験には小児患者205例を採用した。女児が56%を占め、白人17%、黒人50%、ヒスパニック系30%であった。年齢の中央値は5.4歳であり、ベースラインCD4パーセントは15%を超えていた(中央値;27%)。ベースラインの血漿中HIV-1 RNA量の中央値は4.6 log10 copies/mlであった。試験参加以前に患者の80%はジドブジン治療を、55%はラミブジン治療を受けており、多くは両剤を併用していた。以前のヌクレオシド誘導体での治療期間の中央値は2年だった。24週間の治療期間にわたる血漿中HIV-1 RNA量≦10,000copies/mlおよび≦400copies/mlの患者の比率をそれぞれ図2にまとめた。

 

図2: 試験CNAA30061,2における24週間の血漿中HIV-1 RNA量≦10,000 copies/mlまたは≦400 copies/mlの患者の比率

 

 16週間の治療後に測定したベースラインからのCD4リンパ球数の増加量(中央値)はZIAGEN投与群で69 cells/mm3、対照群で9 cells/mm3であった。

 

禁忌:ZIAGEN錠およびZIAGEN内服液は、本剤の成分に対し過敏症の既往のある患者には禁忌である。(「警告」参照)

 

警告:

過敏症:ZIAGEN治療によって致死的な過敏反応をきたすことがある。過敏症の徴候または症状(発熱、皮疹、疲労感ならびに嘔気、嘔吐、下痢または腹痛などの消化器系症状)が発現し、過敏反応が疑われる場合は、直ちにZIAGEN投与を中止し、速やかに医学的評価を行うこと。ZIAGENによる過敏反応が一度でも発現した患者にZIAGENを投与すると、数時間内にさらに重篤な症状が再発し、生命に関わる血圧低下をきたして死亡に至る危険性もあることから、ZIAGEN治療を再開しないこと(「患者への情報と副作用」の情報を参照)。

 現在、実施中の試験でアバカビルを投与した成人および小児患者の約5%に過敏反応が報告されている。症状は通常、ZIAGEN治療開始から6週間以内に発現するが、こうした反応は治療中いつでも発生しうる(「使用上の注意:患者への情報と副作用」を参照)。

 

アバカビル過敏反応登録窓口:過敏反応の報告ならびに各症例の情報収集を推進するために、アバカビル過敏反応登録窓口を設置している。医師は当窓口に電話し(1-800-270-0425)、患者の登録に協力すること。

乳酸アシドーシス/脂肪沈着による肝腫大:アバカビルまたは他の抗レトロウイルス薬を含むヌクレオシド誘導体の単独あるいは併用療法によって、乳酸アシドーシスおよび重篤な脂肪沈着による肝腫大(死亡例を含む)が報告されている。こうした症例の多くは女性であった。肥満およびヌクレオシドの長期使用は危険因子と思われる。明確な肝疾患の危険因子をもつ患者に本剤を投与する場合は、特に注意が必要であるが、既知の危険因子のない患者でも発症が報告されている。乳酸アシドーシスまたは著明な肝毒性(顕著なトランスアミナーゼの上昇を伴わない肝腫大および脂肪沈着も含む)を示唆する臨床所見または臨床検査データがみられる患者では、ZIAGENの関与を疑うこと。

 

注意:

全般:アバカビルは必ず他の抗レトロウイルス薬と併用すること。ウイルス学的反応がみられないことにより抗レトロウイルス療法を変更する場合も、アバカビルを単独投与で追加しないこと。

治療経験患者:臨床試験でヌクレオシド逆転写酵素阻害薬(NRTI)の長期使用歴のある患者またはNRTI耐性を示す複数の突然変異を含むHIV-1分離株を有していた患者では、アバカビルの治療効果が制限された。治療経験を有する患者において新たな治療法を選択する場合は、アバカビルと他のNRTIとの交差耐性の可能性を考慮すること(「微生物学的作用:交差耐性」を参照)。

患者への情報提供:死亡に至ることもあるZIAGENに対する過敏反応の可能性を患者に説明すること。過敏反応の徴候または症状(発熱、皮疹、疲労感ならびに嘔気、嘔吐、下痢または腹痛などの消化器系症状)が発現した場合は、直ちにZIAGEN投与を中止し、速やかに医学的評価を行うこと。ZIAGENによる過敏反応が一度でも発現した患者にZIAGENを投与すると、数時間内にさらに重篤な症状が再発し、生命に関わる血圧低下をきたして死亡に至る危険性もあることから、ZIAGEN治療を再開しないこと(「副作用と警告」を参照)。

 「治療上の注意」は患者向けの説明書であり、新しい処方および再処方のたびにこれを患者に支給すること。「治療上の注意」の完全な内容を本文書巻末に添付している。薬剤師は処方ごとにアバカビル過敏反応の症状をまとめた「警告カード」を患者に支給し、常に携帯するよう指導すること。

 ZIAGENはHIV感染を治癒させる薬物ではないため、服用後も日和見感染などのHIV感染による疾患をきたす可能性がある。ZIAGENの使用中も、医師は患者の観察を継続すること。ZIAGENを使用しても性的交渉または血液汚染による他者へのHIVの感染リスクの軽減は認められていないことを患者に説明すること。

 現時点ではZIAGENの長期効果は明らかでないことを患者に説明すること。

 ZIAGEN錠および内服液は経口摂取専用である。

 ZIAGENを処方通り正確に服用することの重要性を患者に指導すること。

薬物相互作用:アバカビルにラミブジンまたはジドブジンあるいは両剤を併用しても、アバカビルの薬物動態は変化しなかった。アバカビルを併用してもラミブジンおよびジドブジンの薬物動態に臨床的に重要な変化は観察されなかった。

 アバカビルはエタノールの薬物動態に影響を与えない。エタノールはアバカビルの排泄量を低下させるため、アバカビルの総曝露量が増大する(「臨床薬理作用:薬物相互作用」を参照)。

発癌性、突然変異原性および生殖機能障害:ヒトリンパ球を用いたin vitro細胞遺伝学試験において、アバカビルは代謝性活性化系の存在下および非存在下において染色体異常を誘発した。マウスリンフォーマL5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験でアバカビルは代謝性活性化系の非存在下で変異原性を示したが、代謝性活性化系の存在下では変異原性を示さなかった。in vivoマウス骨髄小核試験においては、ヒト臨床用量におけるAUCの約9倍に相当するAUCで、雄マウスでは染色体異常の誘発がみられたが、雌では認められなかった。

 細菌を用いた復帰突然変異試験では、代謝性活性化系の有無にかかわらずアバカビルに変異原性は認められなかった。

 雌雄ラットの交尾ならびに生殖能に対するアバカビルの有害作用は、ヒト臨床用量の約8倍の用量(体表面積当たりの用量の比較による)である500mg/kg/日においても、観察されなかった。

妊娠:妊娠カテゴリーC。 妊娠ラットにおける試験で、アバカビルは胎盤移行することが示された。ラットの器官形成期投与試験ではアバカビル1000mg/kgの投与により、胎児発生毒性(胎児の体重増加の抑制と頭臀長の減少)ならびに胎児全身浮腫および骨格奇形の発生率が上昇した。この用量によるAUCはヒト臨床用量におけるAUCの35倍に相当する。生殖能試験では500mg/kg/日投与の場合にのみ、発生中の胚および胎児に対する毒性作用(吸収胚の増加、胎児の体重減少)が観察された。胚の着床から離乳までの期間にアバカビル500mg/kgを投与した雌ラットの胎児及び出生児では、死産および生涯にわたる低体重の発現率が高かった。ウサギでは、700mg/kg(この用量によるAUCはヒト臨床推奨用量におけるAUCの8.5倍)まで投与した試験において、薬物に関連する胎児発生毒性の所見ならびに胎児奇形の増加は認められなかった。

 妊婦における十分かつ適切な対照群を設けた試験は実施していない。妊婦へのZIAGENの使用は、期待される効果がリスクを上回る場合に限ること。

 抗レトロウイルス妊娠登録窓口:妊婦へのZIAGEN投与による母児の経過をモニタリングするために、抗レトロウイルス妊娠登録窓口を設置している。医師は当窓口に電話し(1-800-258-4263)、できる限り患者の登録を行うこと。

授乳婦:疾患管理予防センターは、HIVの出生後感染を避けるために、HIVに感染している母親は乳児に授乳しないよう推奨している。

 アバカビルがヒト母乳中に移行するかどうかは不明であるが、アバカビルを投与した授乳ラットの母乳中にアバカビルが検出されている。HIV感染の可能性とアバカビルの副作用の両面から、ZIAGENの使用中は授乳しないよう患者に指示すること。

小児患者の使用:ZIAGENの安全性および有効性は生後3カ月から13歳までの小児患者で確立されている。この年齢層におけるZIAGENの使用は薬物動態試験ならびに十分かつ適切な対照を設けた成人および小児患者のZIAGEN試験から得られたデータによって裏付けられる(「臨床薬理学:薬物動態:特殊集団:小児患者」;「適応と使用上の注意:臨床試験の概要」;「警告」、「副作用」ならびに「用法・用量」を参照)。

高齢患者の使用:ZIAGENの臨床試験に採用した65歳以上の患者は、若年患者との間に反応差があるかどうかを明らかにできるほど症例数が十分でない。他の報告されている臨床試験では高齢患者と若年患者の間に差を認めていない。一般に高齢患者では肝機能、腎機能または心機能の低下、あるいは随伴症状や他の薬物治療の頻度が高いことが推測されることから、用量の選択には注意が必要である。

副作用:

過敏反応:ZIAGENによる治療には致死的な過敏反応を伴うことがある。ZIAGENによる過敏反応が一度でも発現した患者にZIAGENを投与すると、数時間内にさらに重篤な症状が再発し、生命に関わる血圧低下をきたして死亡に至る危険性もあることから、ZIAGEN治療を再開しないこと。過敏症の徴候または症状が発現し、過敏反応が疑われる場合は、直ちにZIAGEN投与を中止し、速やかに医学的評価を行うこと(「警告」、「使用上の注意」および患者用説明書を参照)。

 現在実施中の試験では、ZIAGENを投与した成人および小児患者の約5%に過敏反応が報告されている。この反応は多臓器/全身系の関与を示す症状を特徴とする。症状は通常、ZIAGEN治療開始から6週間以内に発現するが、こうした反応は治療中いつでも発生しうる。しばしば観察される徴候および症状は発熱、皮疹、疲労感ならびに嘔気、嘔吐、下痢または腹痛などの消化器系症状である。他の徴候および症状として倦怠感、嗜眠、筋痛、関節痛、浮腫、息切れおよび感覚異常がある。身体所見はリンパ節症、粘膜障害(結膜炎および口腔潰瘍)ならびに発疹である。発疹は通常、斑状丘疹性または蕁麻疹様であるが、他にも種々の外観を呈する。発疹を伴わない過敏反応もみられる。臨床検査値の異常には肝機能検査値の上昇、クレアチンホスホキナーゼまたはクレアチニンの上昇およびリンパ球減少がある。過敏反応に伴って起こるアナフィラキシー、肝不全、腎不全、血圧低下および死亡も報告されている。治療の継続に伴って症状は増悪するが、ZIAGENを中止すれば回復することが多い。

 アバカビルに対する過敏反応の発現または重篤度を予測する危険因子は特定されていない。

成人患者:CNAAB3003の試験では、ZIAGEN 300mg 1日2回、ラミブジン150mg 1日2回およびジドブジン300mg 1日2回の三剤併用療法とラミブジン150mg 1日2回およびジドブジン300mg 1日2回の二剤併用療法を比較した。この試験において発現率5%以上であった臨床的有害事象の結果を表1にまとめる。

 

表1:治療経験のない成人患者を対象とした臨床試験(CNAAB3003試験)において、16週間の治療期間中に発生したグレード1〜4の臨床的有害事象(発現率≧5%)

有害事象

ZIAGEN/ラミブジン/ジドブジン
(n=83)

ラミブジン/ジドブジン
(n=81)

嘔気

47%

41%

悪心および嘔吐

16%

11%

下痢

12%

11%

食欲減退/食欲不振

11%

10%

不眠および他の睡眠障害

7%

5%

 

小児患者:CNAA3006試験では、ZIAGEN 8mg/kg 1日2回、ラミブジン4mg/kg 1日2回およびジドブジン180mg/m2 1日2回の三剤併用療法とラミブジン4mg/kg 1日2回およびジドブジン180mg/m2 1日2回の二剤併用療法を比較した。この試験において発現率5%以上であった臨床的有害事象の結果を表2にまとめる。

 

表2:治療経験のある小児患者を対象とした臨床試験(CNAA3006試験)において、24週間の治療期間中に発生したグレード1〜4の臨床的有害事象(発現率≧5%)

有害事象

ZIAGEN/ラミブジン/ジドブジン
(n=102)

ラミブジン/ジドブジン
(n=103)

悪心および嘔吐

38%

18%

発熱

19%

12%

頭痛

16%

12%

下痢

16%

15%

皮疹

11%

8%

食欲減退/食欲不振

9%

2%

 

臨床検査値の異常: CNAB3003試験およびCNAA3006試験の2治療群に、ほぼ同じ頻度で臨床検査値の異常(貧血、好中球減少、肝機能検査異常およびクレアチンホスホキナーゼ上昇)が観察された。軽度の血糖値上昇の発現頻度はアバカビル投与群で高かった。試験CNAB3003では、トリグリセリドの上昇(全グレードを含む)がプラセボ群(11%)よりアバカビル群(25%)で多く認められた。

他の有害事象:表1および表2の有害事象のほかに、拡大使用プログラムで膵炎およびγ-GTP上昇が観察された。

 

過量投与:ZIAGENの明らかな解毒剤はない。腹膜透析または血液透析によってアバカビルを除去できるかどうかも不明である。

 

用法・用量:過敏反応の情報を記載した「治療上の注意」および「警告カード」を新たな処方および再処方のたびに患者に支給すること。過敏反応の報告ならびに各症例の情報収集を推進するために、アバカビル過敏反応登録窓口を設置している。医師は当窓口に電話し(1-800-270-0425)、患者を登録すること。

 ZIAGENは食前、食後のいずれに服用することもできる。

成人患者:成人におけるZIAGENの推奨経口用量は他の抗レトロウイルス薬との併用において300mg 1日2回投与である。

若年/小児患者:生後3カ月から16歳以下の若年/小児患者におけるZIAGENの推奨経口用量は、他の抗レトロウイルス薬との併用において8mg/kg 1日2回(最大300mg 1日2回)投与である。

肝機能低下患者の用量調整:肝機能低下患者の推奨用量を特定できるほど十分なデータがそろっていない。

 

用法:ZIAGENには錠剤と内服液がある。

ZIAGEN錠:1錠につきアバカビル300mgを硫酸アバカビルとして含有する。黄色の両凸面カプセル型フィルムコーティング錠で、片面に“GX623”の印字があり、反対面には表示はない。包装は以下の通りである。

60錠入りボトル(NDC 0173-0661-01)

60錠の単位用量ブリスターパック(NDC 0173-0661-00)。パック1個は各10錠のブリスターカード6枚からなる。

 20〜25℃(68〜77? F)の室温で保管すること(USPを参照)。

ZIAGEN内服液:透明〜やや白濁した淡黄色のイチゴ・バナナ風味の液剤。1mlにつきアバカビル20mgを硫酸アバカビルとして含有する。以下のプラスチックボトルに包装されている。

小児安全包装の240mlボトル(NDC 0173-0664-00)。本剤は用時懸濁の必要はない。

 20〜25℃(68〜77? F)の室温で保管すること(USPを参照)。冷凍しないこと。冷蔵保存は可能。

 

GlaxoWellcome

Glaxo Wellcome Inc.

Research Triangle Park, NC 27709

 

米国特許第5,034,394号

 

版権 1998, Glaxo Wellcome Inc. すべての権利は同社に帰属する。

 

1998年12月 RL-669

 

 

治療上の注意

 

ZIAGEN?(硫酸アバカビル)錠および内服液

 

薬剤名:硫酸アバカビル錠および内服液

 

Ziagenを安全に服用していただくために、本剤の処方を受けた方は、必ずこの「治療上の注意」を最後まですべてお読みください。

 

Ziagenに関する最も重要な情報:

Ziagenを服用する患者の5%程度に過敏反応(重篤なアレルギー反応)が発現し、時に死に至ることもあります。皮疹あるいは下記の症状が2つ以上同時に発現した場合は、この過敏反応の可能性があります。

 

  • 発熱
  • 吐き気、嘔吐、下痢または腹痛
  • 重度の疲労感、痛みまたは全身の不快感

 

こうした症状のリストは薬剤師が配布する「警告カード」に記載されています。この「警告カード」はつねに携帯してください。Ziagenの服用中にこうした症状に気づいた場合は、本剤の服用を直ちに中止し、医師に電話で連絡してください。

 

この重篤な過敏反応のためにZiagen治療を中止した場合は、二度とZiagenを使用しないでください。こうした重篤な反応を経験した患者さんがZiagenの治療を再開すると、数時間以内に血圧低下などの命に関わる症状をきたし、最悪の場合は死亡するおそれがあります。

 

他にもZiagenには重篤な副作用があります。後の項に記載した「発現が予想されるZiagenの副作用」を必ずお読みください。

 

 

Ziagenとは?

 ZiagenはHIV感染症の治療に使用する医薬品です。Ziagenは錠剤またはイチゴ・バナナ風味のシロップで、いずれも内服用薬です。本剤はヌクレオシド誘導体逆転写酵素阻害薬(NRTI)と呼ばれるHIV治療薬に分類され、他のHIV治療薬と一緒に服用した場合に限り、効果を発揮します。他のHIV治療薬と併用すると、Ziagenは血液中に含まれるHIV量を減少させ、感染と戦えるように患者さんの免疫系をできる限り健康な状態に維持します。ただし、すべての患者さんでこうした治療効果が期待できるとは限りません。

 ZiagenはHIV感染症やAIDSを治癒させる医薬品ではありません。現在、Ziagenが延命に有用であることを示すデータやHIV感染症やAIDSに伴う医学的問題を少なくするといった証拠はありません。したがって、医療担当者の診察を定期的に受けることが大切です。

 

Ziagenを使用できない患者

 Ziagenに対する過敏反応(重篤なアレルギー反応)を経験した患者さんは、Ziagenを服用できません。この場合は、未使用のZiagenを医師か薬剤師にすべて返却してください。

 

Ziagenの使用方法

 医師の処方に従い、正確に服用してください。

 成人(16歳以上)の標準用量は300mg錠を1回1錠、1日2回服用します。

 生後3カ月から16歳未満の若年/小児患者もZiagenを使用することができます。医師が内服液か錠剤か、子供さんに適したZiagenを指示し、体重と年齢にもとづいて用量を決定します。3カ月未満の小児ではZiagenの効果や安全性は評価されていません。

 Ziagenは食前でも食後でも服用できます。

 HIV治療をできる限り効果的にするために、使用するすべての医薬品を医師の処方に従い正確に服用し、飲み忘れがないように十分注意してください。

 万一、Ziagenの服用を忘れた場合は、この分を直ちに服用し、次の服用は本来の予定時刻に行ってください。

 支給されたZiagenや他のHIV治療薬の残量が少なくなれば、医師か薬剤師から新たに支給を受けてください。併用している医薬品の1つでも中止すると、短期間の中止であっても血液中のウイルス量が増加するおそれがありますので、医師の処方通りに正確にHIV治療薬を服用することが大変重要です。

 

Ziagenの使用中に控えること。

 Ziagenに、性的交渉または血液感染によるHIV感染のリスクを低減する効果は認められていません。Ziagenの使用中も安全な性交渉を心掛け、清潔でない針の使用や共有は避けてください。

 妊娠しているか、Ziagenの服用中に妊娠した場合は、医師に相談してください。Ziagenの効果や安全性は妊婦では評価されておらず、胎児に対する危険性も現在のところ明らかではありません。

 母乳中のHIVが乳児に感染するおそれがありますので、乳児への授乳は避けてください。

 

発現が予想されるZiagenの副作用

 Ziagenに対する過敏反応(重篤なアレルギー反応)が報告されており、死に至るケースもあります。こうした反応をどのように認識するか、またこうした反応が疑われる場合にどのように対処するかについては、「Ziagenに関する最も重要な情報」の項に説明しています。

 Ziagenが属する医薬品(NRTI)は、乳酸アシドーシスと呼ばれる状態や肝臓の肥大を引き起こし、場合によって患者さんが死亡することもあります。この副作用はまれにしか発生しませんが、重篤であり、男性より女性に多くみられます。

 他にもZiagenの副作用があります。臨床試験で多く認められた副作用は吐き気、嘔吐、倦怠感または疲労感、頭痛、下痢、食欲不振です。こうした副作用のほとんどは、発現してもすぐにはZiagen治療の中止につながりません。本書に記載した副作用は一部です。医師または薬剤師から具体的な副作用について詳細な説明を受けることができます。副作用を認めた場合は、速やかに医師に相談してください。

 医薬品は「治療上の注意」に記載されていない目的で処方されることがあります。Ziagenに関する質問等は医療担当者におたずねください。医師または医療担当者は専門家用の医薬品添付文書を所持しています。詳細な情報が必要な場合は、添付文書を読みたい旨、医師または薬剤師にご相談ください。

GlaxoWellcome

Glaxo Wellcome Inc.

Research Triangle Park, NC 27709

 

1998年12月 MG-001

 

本「治療上の注意」は米国食品・医薬品局の承認を受けています。